葉酸のすゝめ|元気な赤ちゃんを迎えるために。【薬剤師】

妻の妊娠、出産を機に、女性にとって重要な“葉酸”について、より深く考えることが多くなりました。
何となく分かったつもりでいましたが、改めて薬剤師目線でしっかり調べ、葉酸をテーマにした研究会に参加したり、同僚の妊婦授乳婦薬物療法認定薬剤師といろいろ話をすることで、知識が深まりましたので、整理してみました。

最近、“薬剤師の視点から”や”薬剤師の立場から”、”薬剤師目線で”といったフレーズを講演や学生への講義の中でよく使います。
その意図するところとしては、患者のQOLを向上させる確実な結果を目的とした責任ある薬物治療の提供(ファーマシューティカル・ケア)の実践であったり、医薬品の適正使用の推進、副作用の早期発見、薬物相互作用の確認、さらには薬剤の構造から考えられる作用機序といったことをより意識し、強調するために使用しております。

今回も同様に、葉酸を摂取することの重要性やその用法用量などについて、薬剤師の立場からレポートしてみたいと思います。

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はじめに

2000年に、厚生省(現、厚生労働省)から「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」(平成12年12月28日児母第72号・健医地生発第78号)という通知が出ました。
その中には、先天異常の中で、二分脊椎などの神経管閉鎖障害については、妊娠可能な年齢の女性の葉酸(ビタミンBの一種)の摂取が、その発症リスクを有意に低減すると報告されているとのことから、葉酸を勧めるとのことが書かれております。
また、欧米諸国においても、妊娠可能な年齢の女性に対して、神経管閉鎖障害の発症リスクの低減のため、葉酸摂取量を増加させるべきであると勧告しているとのことも書かれておりました。
したがって、妊娠可能な年齢の女性は、いつ妊娠しても問題ないように継続的な葉酸摂取が推奨されております。

葉酸摂取について、知っておきたいポイント

ここで重要なのは、妊娠中の栄養摂取が乳幼児の疾患に影響することは知られていても、“葉酸摂取の望ましい開始時期が妊娠前”であることは、十分伝わりきれていない可能性があるということです。
妊娠が分かってから葉酸摂取を開始しても、最も期待される効果がそのタイミングで発揮されていないかもしれません。
神経管は受精後2週くらいで形成され、4週頃に閉塞されます。
葉酸はDNAの生合成に必要とされており、神経管閉鎖障害を生じさせないような効果があります。
つまり、妊娠の極めて初期の段階に葉酸が最も必要になると考えて良いと思います。

重要な事項なので今一度まとめますと、「葉酸は、受精卵が正常に発達する過程のごく初期の時期、具体的には受精から4~5週くらいまでに十分な用量が必要になる」ことから、妊娠(受精)前から葉酸の血中濃度を高めておく必要があります。

以上のことから、“妊活”の一つとして、葉酸摂取も含める必要があるのです。
ストレスを溜めない規則正しい生活、アルコール摂取を控えること、禁煙などと同時に、日々の葉酸摂取の継続も重要なのです。

ちなみに、葉酸は、貧血にも適応がありますので、貧血気味の女性や小児にもオススメです。
また、乳酸菌の増殖因子ということも知られていますので、お腹の調子が悪い方は、バランスを整えるために、乳酸菌(ヨーグルトなど)とともに葉酸(野菜や果物など)も摂取するとより効果が得られると思います。

葉酸の摂取方法

では、葉酸はどうやって摂取するかですが、一般に、葉っぱの酸ということだけあって、緑黄色野菜に含まれております。
さらには、果物やレバーといった食物にも多く含まれております。
ちなみに、葉酸(folic acid)の名前の由来は、ほうれん草の葉っぱから発見されたことから来ているそうです。
しかし、野菜摂取不足が言われている昨今、妊娠可能な年齢の女性が、葉酸の1日摂取推奨量の400μgを日々食物から摂取し続けるのは、非常に難しいのが現状かと思います。
なぜなら、葉酸は熱に弱く、調理に際して50%程度分解されるか、水溶性のためゆで汁に溶けてしまうため、調理によって失われやすい成分だからです。
したがって、野菜からの十分な摂取はやはり期待できないと思われます。
アメリカ、カナダ、オーストラリアなどの欧米では、葉酸強化小麦粉が義務的強化ということで製造され、一般に葉酸添加穀物が提供されておりますが、日本では一部のパンや牛乳、ヨーグルトに添加されているに過ぎません。
しかも、このような製品は少々値段が高く設定されていますので、私は、スーパーで手に取ることはありません。

そこで、日本では、厚労省の方から、葉酸サプリメントの摂取が推奨されております。
葉酸は、医薬品として、フォリアミン5mg(9.6円/5mg錠)というものが承認、販売されておりますが、こちらは医師による処方が必要になります。
つまり、医師が葉酸欠乏、もしくは葉酸が摂取できない、葉酸不足の予防が必要と判断した患者に対し処方し、薬剤師によって調剤されます。
したがって、妊娠前の健康な女性には、なかなか処方していただくことは難しいかもしれませんし、1日摂取推奨量は400μgですので、5mg=5000μgでは、12.5倍量と一般の健康な女性には摂取過剰となってしまう可能性があります。
葉酸の過剰摂取は、ビタミンB12の欠乏をマスキングしてしまうため、ビタミンB12欠乏の診断を困難にさせることがあります。
ビタミンB12が不足しますと、末梢神経障害(手先や足などの痺れ)を生じさせることがあります。

現在、葉酸含有サプリメントは非常に充実しておりますので、そちらをご利用されるのがお手軽かつ十分かと思います。

葉酸サプリメントのすゝめ

葉酸含有サプリメントは厚労省の方から推奨されておりますが、非常に多くの商品がありますので、色々調べてみました。
単に葉酸のみで構成されているサプリメントはなく、様々な成分が配合されており、その一つ一つに有効性があるかどうか判断するのは困難でした。
そこで、葉酸サプリメントを選択する際のポイントとしては、まず葉酸(モノグルタミン酸型葉酸)が400μg含まれていることが最低条件になります。
そして、鉄分とカルシウムが含まれていれば十分かと思います。
中には、マカやピニトール、ミトコンドリア(?)など様々な成分が含まれているものがありますが、正直その効果はよく分かりません。
これらの成分の検証が今後の課題です。
また、葉酸摂取をする場合は、乳酸菌とともに摂取することで便秘解消につながりますので、オススメです。
したがって、葉酸摂取の前にヨーグルトを食べるとより効果が得られるでしょう。
または、乳酸菌が配合されているサプリメントを選択するのも良いと思います。

まとめ

葉酸について知っておきたいことは、
☑️ 妊娠前の女性にとって、そして生まれてくる赤ちゃんのために、葉酸摂取は重要
☑️ 妊活中から葉酸摂取は必要
☑️ 葉酸は、サプリメントの利用がおすすめ

サプリメント選択基準は、
☑️ 葉酸(モノグルタミン酸型葉酸)が400μg含まれているもの
☑️ 妊婦にとって不足しがちな、鉄分、カルシウムが含まれているもの
☑️ 乳酸菌が配合されていれば、より良い

サプリメントには、最も重要な成分以外にも含まれておりますので、そのことを理解し、その効果がどのような影響を及ぼすか意識しておく必要があると思います。
万が一、サプリメント摂取が明らかな原因で体調が悪くなる(発疹、呼吸困難、嘔気など)ことがあれば、薬剤師ではなく、必ず主治医の先生にご相談しましょう。

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今日という日は、残りの人生の最初の一日。
では、今日も一日楽しみましょう!

photo by pharmacistraveler

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